
今すぐ売却は考えておらず、
「数年間賃貸にしてから売却すれば」
と考えている方もおられるでしょう。
ただ、今売った方がプラスなのか数年後に
売った方がプラスなのかも悩むところです。
ここで、事例を1つご紹介しましょう。
八尾市にお住まいのご夫婦からのご相談でした。
新しい住まいを購入し、これまで住んでいた
マンションを売った方がいいのか、
賃貸にした方がいいのか、悩んでおられました。
◆ 賃貸にした場合の収益は?
今、売るとしたら査定額は2,200万円でした。
次に、賃貸です。
賃貸期間は2年で考えられていました。
なぜなら「娘が2年後に大阪へ
戻ってくるかもしれない」とのことでした。
戻ってこなかったらそのまま賃貸に
してもいいとのお考えです。
分譲マンションを賃貸にする場合、
管理費・修繕積立金・固定資産税は
家主負担になります。
また、家賃滞納やトラブルに対応してもらうために
不動産会社へ管理委託した場合、
委託料は家賃の約5%が必要です。
想定してみました。
◆収入
家賃は12万円
◆支出
管理費8,000円、修繕積立金12,000円、
固定資産税を月割1万円、委託料5%(6,000円)
合計月3.6万円
◆毎月の家賃収入
12万円-3.6万円=8.4万円
◆2年間の家賃収入
8.4万円×24ヵ月=201.6万円
2年間で得られる収入は約200万円
※税金は考慮していません。
◆ 分岐点の価格は?
現在の査定額は、2,200万円
2年間賃貸にすると、200万円の収入
つまり、2年後に下記の価格で売れたら
2,400万円なら、400万円プラス
2,300万円なら、300万円プラス
2,200万円なら、200万円プラス
2,100万円なら、100万円プラス
2,000万円なら、プラマイ0円
1,900万円なら、100万円マイナス
分岐点は2,000万円です。
◆ 賃貸にリフォームは必要なの?
ここで奥様から質問がありました。
「部屋はリフォームせずにこのまま
貸すことはできますか?」
このまま、募集することは可能ですが、
なかなか、入居者は見つからないでしょう。
決して豪華にする必要はありませんが、
貸すためには最低限のリフォームは必要です。
室内を確認したところ、壁と天井のクロス貼替、
ガスコンロと給湯器の交換、キッチンとお風呂の
水栓交換、キッチンと洗面室とトイレの床貼替、
網戸張替、ウォシュレット交換、襖と畳の張替が
必要でした。
ざっと、150万円必要です。
「この150万円は先行投資になり、
月8.4万円の収入なので、
1年6か月後からようやくプラスになります」
と伝えました。
奥様の顔が険しくなるのが分かりました。
この時点で、2年後の分岐点が
2,050万円と上がります。
◆ すぐに入居者が見つかるとは限らない!
奥様から続けて、
「すぐに入居者が見つからなかった場合は
どうなるの?」と質問を頂きました。
確かに、入居者がすぐに見つかるとは限りません。
見つかるまでの期間も考慮する必要があります。
リフォームに1ヶ月、募集に2ヶ月掛った場合、
計3ヶ月間は収入が入りません。
つまり、家賃12万円×21ヶ月=252万円
管理費等3万円×24ヵ月=72万円
委託料6,000円×21ヵ月=12.6万円
252万円-72万円-12.6=年間収入は
167.4万円となります。
リフォーム代150万円を差し引くと
167.4万円-150万円=17.4万円
こうなると、2年後の分岐点は
2,183万円となります。
※賃貸募集に伴う、不動産会社への仲介手数料は
入居者に頂く礼金での支払いで清算
そこで、奥様へ、
「賃貸にして2年後に2,183万円以上で売却
できなければマイナスになります」と説明しました。
すると奥様は「ダメダメ! 2年の賃貸なんて!」
「あなた、すぐに売りましょう!」と主張され、
鶴の一声で、即売却することになりました。
◆ 期間が長ければ、賃貸もあり!
この事例では2年間の設定だったので
売却されることになりましたが、
長期になると数字も変わってきます。
また、将来マンションが値上がりする
可能性もあります。
ゆえに、すぐ換金する必要がなければ
賃貸の検討余地もありますね。
ただ、住宅ローンをまだ支払っている場合は、
賃貸にすることは得策ではありません。
5年なら、10年ならどうなるのか?
お知りになりたい方は、お気軽にご相談ください。
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