
◆ 「売却を頼んだら、内見者が現れる」が一般的
宅建業法では不動産を売りたい人から売却依頼を
受けた不動産会社は、国が定めた流通に
売却不動産の情報を※登録する義務があります。
※専属と専任媒介のみ。
登録された情報は、全国の不動産会社が共有できます。
そこで、売却情報を知ったA不動産は、
鈴木さんへ「希望エリアで売り物件が出ましたよ」
と物件を紹介。
鈴木さん「日曜14時に見せてもらえますか」と
A不動産に依頼。
そして、売却情報を登録したB不動産へ
「日曜14時に内見したいのですが」と
A不動産が連絡を入れました。
「日曜の14時なら大丈夫です」と
B不動産から返事があり、
鈴木さんは内見することができました。
これが、一般的な内見の流れです。
◆ 内見者が現れないそのワケ!
ところが、売却を頼んだのに、
一向に内見者が現れません。
そこで、いろいろ調べていくと、
内見者が現れないマンションには共通点があったのです。
それが、【囲い込み】です。
【囲い込み】とは、不動産会社が売却情報を
独占する行為です。
そんな囲い込みは、数十年前から不動産業界の
悪習でした。
しかし、2015年頃には頻繁にニュースやテレビ、
専門誌で取り上げられ、
今では、【不動産、囲い込み】などで検索すると
簡単に実態が分かるようになりました。
◆ 囲い込まれたらどうなる?
囲い込まれると、A不動産からの内見依頼に、
B不動産は「いま、商談が入っているから無理です」
と嘘をついて断ります。
A不動産は商談が本当かどうかを確認する方法が
ありません。
すると、鈴木さんには「商談が入っているので内見
はできません」と断らざるを得なかったのです。
このようなB不動産の内見を拒否する行為を
「囲い込み」と言います。
◆囲い込むメリットは仲介手数料の独占!
なぜ、B不動産は嘘をつくのか、
理由は仲介手数料です。
仲介(ちゅうかい)とは、不動産を売りたい人と、
買いたい人を引き合わせる仕事です。
引き合わせに成功すると、報酬として仲介手数料を
頂きます。
例えばA不動産は鈴木さんから100万円、
B不動産は売主の田中さんから100万円となります。
しかし、B不動産が直接買主を探すことができれば、
もう100万円を稼ぐことが可能です。
売り買いの両方から1社が頂くことは違法では
ありません。だから、B不動産は自社で買主を
見つけるまで、囲い込むのです。
◆ 不利益は売主にも買主にも発生する!
このような【囲い込み】で不利益を受けるのは、
買主の鈴木さんと売主の田中さんですね。
買主の鈴木さんは、希望物件が売り出されたのに、
内見することすらできません。気に入れば、
購入していたでしょう。
一方、売主の田中さんは、買ってもらえたかもしれ
ない、鈴木さんと出会うことができませんでした。
このタイミングで売れていたら、今後の計画も
変わったでしょう。互いの機会損失は大きいですね。
◆ 囲い込まれている真実をしった売主の事例!
売主さんからの相談です。
「売りに出しているのに、全然売れない」
調べた結果、「囲い込まれています」と伝えました。
ですが、「まさか○○不動産(大手)に限ってそんな
ことはしないでしょう!?」と信じてもらえません。
そこで、売主さんの目の前で○○不動産へ電話を
しました。
すると、○○不動産は「現在商談中です」と
答えたのです。スピーカーホンで聞いていた、
売主さんは驚愕されていました。
◆ 直接内見を依頼したのに断られた事例!
もっと酷いケースもあります。
「◇◇マンションを内見したいと、C不動産に連絡
したら、商談中だから見られない」と断られました。
「女性だから、断られたのかもしれません。
村長さんから内見依頼をしてもらえないでしょうか」
そこで、私からC不動産へ連絡をすると、
「現在、買い取り業者と交渉しているから、
無理です」と同じく断られました。
私は、買い取りと聞いたので合点がいきました。
理由は仲介手数料と時間です。
でも本来なら、相談者とそのまま成約できれば、
仲介手数料は稼げたはずですよね。
しかし、なぜ阻止したのでしょうか?
なぜなら、一般の方で住宅ローンを利用する場合、
審査に時間が掛かり、すぐには契約できないからです。
更に、ローンが承認されない可能性もあります。
一方、買い取り業者ならローン利用はなく、
すぐに売買は成立です。
月末になると特に、成績が欲しい営業マンは、
時間が掛かる一般客より、買い取り業者を
優先するのです。
業者によっては話を持ちかけた、
翌日でも契約は可能です。
ゆえに、広告を見た相談者からの内見依頼を断り、
買い取りの話を売主に持ちかけていたのです。
本当に酷い話です。
◆ 買い取りは1度で2度おいしい!
さらに、その買い取ったマンションは
リフォームされ、再販売されます。
その販売は、誰がするのでしょうか?
そうです! 買い取りを持ちかけたC不動産です。
C不動産は、まず買い取りの売買で、売主と買い取り
業者からそれぞれ仲介手数料を稼ぎます。
そして、再販売で契約になれば、買い取り業者と
新たな買主さんからそれぞれ仲介手数料を稼ぎ、
合計で【2往復の手数料】となります。
「1度で2度おいしい」ということになりますね。
不動産会社が売主と買主から手数料を頂くこと
自体は、違法ではありません。
問題は、最初に売却した売主さんの利益を
阻害したことです。
私の見立てでは、売主さんは買い取り契約で
400万円は損失していますね。
仲介手数料は、売買価格の3%+6万円+消費税です。
売買価格が100万円下がっても、
不動産会社の手数料は3.3万円しか下がりません。
だから、平気で、数百万円も下げる買い取りを
提案するのです。
◆ 親ならしない!
弊社も買い取りは行います。すると、
「村長さんのところで買い取ってもらえませんか」
と打診がありました。
そこで、意地悪な質問をしました。
「もし、このマンションが親の持ち物だったら、
買い取りで話を進める?」
すると営業さんは「親ならしませんよ、だって、
安くなりますから」と話しました。
身内なら、みすみす安くなる買い取りで
進めることはなく、他人なら平気で買い取りで
進める、これが実態です。
◆ 囲い込まれない対策とは!
売却依頼を専属専任や専任媒介契約で、
1社に頼むのでなく、一般媒介にするべきです。
なぜなら、一般媒介で数社に依頼すると各社が
競い合うので、囲んでいる場合ではありません。
囲い込んだ結果、情報をオープンにしている他社で
契約が成立してしまうと、元も子もありませんね。
本来は、信頼できる会社へ1社頼めば十分です。
1社に絞り切れない場合は、一般媒介で2~3社に
依頼することをお勧めします。
「すでに売り出しているけれど、なかなか売れてい
ない」場合は、お気軽にご相談ください。
原因と対策をお伝えします。
【コラム発行元】
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