
前回、大規模・小規模マンションの「敷地」に
関するメリットとデメリットをご紹介しました。
特に、駐車場やゴミ置き場は、敷地が広い場合、
台数やスペースを確保しやすいメリットと、
部屋から遠くなるデメリットがありました。
マンション選ぶなら大規模?小規模?-敷地編
さて、今回は、大規模・小規模マンションの
「建物」について、検証してみましょう。
◆ 大規模と小規模で違うのは、「エレベーター」!
まず、基本的に大規模マンションは戸数が多く
小規模マンションは戸数が少なくなりますよね。
では、戸数の違いで変わるのは何でしょうか?
それは「エレベーターの台数」です。
八尾市のメガシティタワーズは、
1棟で794戸もあります。
794世帯が同時に移動することはありませんが、
何台設置されていると思いますか?
メガシティは非常用も含めて7基あります。
「7基も!」と思われたかもしれませんが、
794戸÷7基=113戸に1基の計算になります。
一方、東大阪と八尾市で1番小規模マンションは
ソレイユ小阪の全9戸です。
もちろんエレベーターは1基あります。
9世帯に1基は贅沢ですね。
建築基準法ではマンションの高さが31mを
超えると、非常用エレベーターの設置が
義務付けられています。
一方、総戸数に対するエレベーターの
台数規定はありません。
◆ エレベーターの快適な「台数」は?
では、どれだけあれば快適なのでしょうか?
私の経験則では、60戸に1基は欲しいところ、
実際には100戸に1基程度です。
60戸に1基だと、メガシティの場合、
計算上は794戸なので13基必要になれますね。
よって、7基は決して多い数ではありません。
見学の際、営業マンに
「このマンションにはエレベーターが3基も
ありますよ!」と説明を受けたら
こっそり戸数で割ってみると
意外と少ないかもしれませんよ。
◆ エレベーターの「配置」について
台数の次は、「エレベーターの配置」です。
建物全体のどの場所に設置されているのかで
ずいぶん快適さが違います。
大規模だと台数は増えますが、大半の建物は
同じ場所に数台並んで配置されています。
東大阪市にあるマンションで、
戸数が236戸でエレベーターは2基あります。
横に長い建物なので、エレベーターから
一番遠い部屋は120メートルほど離れていました。
エレベーターは毎日利用することを考えると
部屋から近いほうが便利ですよね。
よって、現地では、エレベーターがどこに
設置されているのか、よく確認しておきましょう。
小規模だと各階に4戸とか5戸なので、
エレベーターまでは近くて便利です。
◆ エレベーターの「速度」は?
次に、気付きにくいのが、「速度」です。
速度については、大規模だから速く、
小規模だから遅い、といったことはありません。
私は年間50ヵ所以上のエレベーターに
乗りますが、エレベーターが新しいと速く、
古いと遅い傾向がありますね。
建物が古くても、エレベーターがリニューアル
されている場合は、速かったりします。
高層マンションだと比較的速いのですが、
古くて速度がのんびりしたエレベーターも
ありました。
一休さんのように「慌てない慌てない、
一休み一休み」といきたいところですが、
朝夕の混み合う時間帯は速いほうが助かりますね。
ちなみに、分譲マンションのエレベーターは
「9人乗り」が一般的です。
何人乗りなのかも、チェックしておきましょう。
◆ 建物規模で違うのは、「共用施設」!
次に、建物規模で違いがあるのは「共用施設」です。
大規模だと、ゲストルーム、フィットネスルーム、
キッズルーム、カラオケルームなどが完備されて
います。
私の叔母が住んでいる京都のマンションには、
コンビニとパン屋さんが入店していました。
正直、毎日利用することはないそうですが、
「あると便利よ」と話していました。
確かに共用施設はあると便利ですが、
メンテナンスも必要で、
維持費は居住者の負担になることを
忘れないでおきましょう。
一方、小規模だとゲストルームなどはありません。
中には、管理人室すらままならない所もあります。
また、小規模だと集会室もありませんので、
総会などはエントランスホールで椅子を並べたり、
場所を近くで借りたりしている所も
見かけたことがありました。
なぜなら、小規模だと、スペースを確保するより、
分譲する部屋を優先するからです。
共用施設がない分、維持費が掛からない点は
助かりますが、戸数が少ないと管理費や
修繕積立金が割高になる傾向があります。
現地では建物規模の大小で、集合ポストの場所、
宅配BOXの有無、管理人室の配置、廊下の幅、
エレベーターの配置、共用施設の有無、
メインエントランス以外の出入り口なども、
チェックしておきましょう。
次は、目につきやすい設備や施設ではない
“脇役“もチェックしてみましょう。
意識しないと見落としがちなポイントですよ。

◆「廊下の幅」
大規模マンションの場合、
廊下もゆったり取れていることが多いですね。
子供が小さくてベビーカーを使用している時や、
車いすを使用している時は、
幅が広いと往来しやすいでしょう。
また、廊下が広いとエアコンの室外機置場が
設置できたり、各戸に専用スペースを設けることが
できたりします。
一方、小規模マンションの場合、
廊下の幅を広げるぐらいなら、
部屋を広げて販売面積を増やすことを優先します。
ちなみに、建築基準法では廊下幅1.2m必要で、
ホテルのように廊下の両側に部屋がある場合は
1.6m必要です。
◆「手すり」
廊下やエレベーター内にあると助かりますね。
手すりは大規模だと各共用スペースも広いので
設置も多く、小規模だと設置数は限られている
でしょう。
見学の際はチェックしておきましょう。
◆「非常階段」
エレベーターが付いているマンションには
必ず設置が義務付けられています。
この非常階段ですが、屋内階段になっている所と
屋外階段になっている所があります。
大規模だと、両方付いている所もありますよ。
屋内なら、雨にも濡れず、
階段の汚れも少ないでしょう。
一方、屋外階段だと雨に濡れやすく、
マメに清掃が必要です。
マメに清掃が必要ということは、清掃員さんが
必要で、管理費もかさむ可能性があります。
次に、屋外階段が鉄製でシートなど吸音材がない
むき出しだと足音が響くことがありました。
ハイヒールなどはすごく響きます。
部屋から階段が近いと便利ですが、
吸音材がない、鉄製だと足音が聞こえないか
確認しておきましょう。
◆「車いすの動線」
あなたや家族に車いすの利用者がいなくても、
ケガをした際に使用するかもしれません。
また、ベビーカーや松葉杖の使用時も同じことが
言えますね。
はたして道路から部屋まで全く障害なく
進むことができるでしょうか?
私が車いす利用のお客様と一緒にマンションを
見学したことがあります。
すると、エントランスのドアが重たく、
車いすに乗りながら1人では開けづらいことや、
廊下の継ぎ目に段差を見つけたことがありました。
普段のご案内だと気付いていなかったと思います。
もし、車いすだったらスムーズに部屋まで行ける
のか?という目線で見学をすると、気付きも違う
でしょう。
バリアフリーは規模の大小ではなく、
2006年12月に法律が策定されましたので、
一定規模以上のマンションでは施工されています。
ただ、新しいマンションだから気を付けて見なくても
安心というわけではありませんので、
しっかり確認しておきましょう。
◆ あると便利な「車寄せスペース」!
最後は、アイテムではありませんが、
マンション前の「車寄せスペース」です。
エントランス前まで車が横付けできると、
雨が降っている時や手荷物が多い時は
すぐに乗り降りできるので助かりますね。
車寄せは大規模マンションなら
標準ということはありませんので、
確認しておきましょう。
小規模で車寄せがなくても目の前が道路で
横付けしやすいところもありました。
ただ、交通量が多いと停めにくいことも
ありますので、確認しておきましょう。
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